「月の都」の中秋月を事前観賞 天文ソフトで

「月の都」の月の魅力を体感してもらうため、本会が2024年取り組む「お月見をもっと楽しもう3回連続イベント」(千曲市日本遺産推進協議会後援)。天文シミュレーションソフトを活用すると、月がどこから何時に上がってくるかがほぼピンポイントで分かることを楽しく知る第1回のイベント「月の出所を知る学習会」を7月20日、長楽寺(千曲市八幡)で開催しました。

会場の長楽寺。中央が講師の渡邊文雄さん
鏡台山の月を見るために必要な操作の画面
ことし鏡台山から上る中秋月が見られる場所
信濃毎日新聞2024年7月21日付 中央に講師の畑田和政さん

「月の都」千曲市の月で有名なのは、千曲川の東側にそびえる鏡台山(きょうだいさん)をはじめとする東の山並み(東山)から現れる月です。千曲市の東山は、凹凸がすくなく稜線の高さが均一なところが長いので、まさしく月が登場する舞台のような場になっています。江戸時代以降、長楽寺近辺では特に中秋のころ、この山並みのどこから現れるか待ちながらお月見を楽しむ人たちが殺到しました。

学習会で活用した天文ソフトは「ステラナビゲーター12」。パソコンで操作し、プロジェクターから操作画面をスクリーンに映し出しました。このソフトには、世界各地の細かな地形情報が入っており、観月する場所についての情報(座標=緯度、経度、標高)を入力すると、画面に実際の景観に近い山並みが現れます。ここで日付を設定してボタンを押すと、月をはじめとする天体が動きだし、夜空の天体ショーをリアルに見ることができるのです。このことは天文家で元上田創造館館長の渡邊文雄さんに教えていただき、学習会では講師をお願いしました。

2024年中秋9月17日に「月の都」に現れる月。姪石苑から

学習会では、まず日付を今年の中秋9月17日(火)、観月の場所を長楽寺近くの姨捨の棚田にある姪石苑(めいしえん)に設定し、ステラナビゲーター12を動かしました。月の軌道を確認したところ、月の出は五里ケ峯の少し左側(北側)であることが分かりました。時刻は午後5時55分ごろです。写真 

松尾芭蕉が長楽寺近辺に来訪した江戸時代貞享5年の中秋(新暦では1688年9月9日)の月の出も、同様の操作を行って、このとき芭蕉がどこから現れる月を見たのかも確かめました。

現代の「月の都」千曲市で最も有名な月は、鏡台山の真ん中、少し凹んだところから現れる月です。これまでは運が良ければ遭遇するということが多かったのですが、渡邊文雄さんのお知り合いでもう一人の講師の畑田和政さん(元中学校理科教諭)は、ステラナビゲーター12を駆使すれば、いつ何時にどこで待っていれば、鏡台山に月が現れるかも突き止められることをパワーポイントも使いながら見せてくれました。

会場のみなさんは、スクリーンに映し出された東山に実際に月が現れ、上っていく様子に歓声を上げました。お父さんお母さんと一緒に小学生も参加。講師の話に盛んに合いの手を入れる発言があり、会場は盛り上がりました。小学生の希望に添い、さらしなの里古代体験パークからはどんな月の出が見られるのか、また南極ではどんな月が見られるのかも操作して見てもらいました。

「お月見をもっと楽しもう連続イベント」第2回は、中秋9月17日(火)、ステラナビゲーター12で示された月の出の場所と時刻が本当にその通りなのか検証します。場所は姪石苑です。

3回目のイベントとして行う「月の都」のすごい月の写真の募集は、後日あらためてHPなどでご案内します。学習会では、東山からの月の出に焦点をあてましたが、「冠着山と月」の写真も大募集します。「月の都」はじまりの和歌「わが心慰めかねつさらしなや姨捨山にてる月を見て」に登場する「姨捨山」は冠着山のこと。「冠着山と月」を狙いながら、歩き写真を撮ることは「月の都」の魅力をさらに深く体感することになるでしょう。

ステラナビゲーター12については、次をクリックしてください。製作元のHPが現れます。

https://www.astroarts.co.jp/products/stlnav12/index-j.shtml

「お月見をもっと楽しもう3回連続イベント」については、次をどうぞ。

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