「春の小川」とさらしな

春の小川・図録

「春の小川はさらさらいくよ きしスミレレンゲのはなに…」 春のすがすがしさと躍動感をうたった「春の小川」。この唱歌と、「さらしな」という地名には同じ魅力がひそんでいると思います。歌詞を作ったのは、長野県中野市出身の国文学者、高野辰之さんだということもあって、より親近感があります。

高野さんは東京に出て住んでいた渋谷の自宅の近くを流れる小川の風景を題材にしました。娘さんと一緒によく散策していたそうです。河骨川(こうほねがわ)と呼ばれる小川で、明治時代は周囲に田んぼがありましたが、現在は宅地とアスファルト道路になり、面影はありません。ただ、「春の小川」が生まれた歴史を紹介する渋谷区の施設が二つあります。

一つは、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館。「春の小川」を作った文学者としての高野辰之を紹介するコーナがあります。ここでは、2008年に「『春の小川』が流れた街・渋谷-川が映し出す地域史-」という特別展が開かれました。そのときの図録は完売ですが、閲覧、部分のコピーができました。写真は、その一部分です。もう一つは渋谷区ふれあい植物センター。植物やメダカなど小川の生き物を育てたり、紹介したりしています。「春の小川」のことを紹介するコーナーもあります。

渋谷区は「谷」という漢字があるように、丘や坂がたくさんあるまちで、かつては小川があちこちにありました。渋谷という地名ならではの景観を現代によみがえらそうと渋谷区が今、河骨川の水も流れ込んでいた渋谷駅近くの渋谷川を再生し、地域づくりにいかそうという事業を始めています。(大谷善邦)

「さらしな」と「春の小川」の関係についてはここもクリックしてごらんください。

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