長野県中野市に「更科峠」がありますー鏡台岩も?

信濃毎日新聞社出版の「新しなの地名考」(1975年)に長野県中野市に「更科峠」があるという記述を見て、3年前の2013年夏、訪ねました。「鏡台岩」と名付けられた岩もあるとのことだったので、峠の名前は当地のさらしなの里にちなんだ可能性が高いと思ったからです。撮った写真を見直していたら、驚きました。当ブログで5月8日に紹介した、冠着山の古峠越えの山道の馬頭観音に供えられていたお札(ふだ)と同じく「熊野修験 那智山青岸渡寺」と記された札が、更科峠にも供えられているではありませんか。札に記された期日は、訪ねたときよりさらに1年前の「平成二十四年四月」。冠着・馬頭観音の札で「姨捨山・冠着山・更級山」と書かれていたところに「更科峠(大坂)」と書かれています。
更科峠は中野市から東の山之内町・佐野地区へ抜ける峠で、位置はちょうど東を望むことになるので、きっと夜は佐野地区の山間や山頂から月が上がってきます。「新しなの地名考」はさらに「更科峠には御座石、鏡台岩などの巨岩があって、ここで(江戸時代の)領主が観月の宴を催したとの伝説がある」と紹介しています。現在もこの峠の中野市側のふもとには「更科」という地区名があります。中野市側の人たちは更科峠への山道を上って佐野地区側から上がる月を楽しんだのだと思います。その月が世の中に自慢したいほどすごいので、「更科峠」と名付けた可能性があります。更科地区には「月宮院」という月を強烈に意識した名前のお寺もあります。
更科峠では、さらしなの月をより美しく見せる舞台の鏡台山(きょうだいさん)にちなんだと考えられる「鏡台岩」も見つけたかったのですが、林が茂っていたので葉が落ちてからにしようと帰りました。今は3年前のとき以上の情報は持ち合わせません。更科峠付近の地図はここをクリックしてください
なお、「さらしな」を自分の土地の呼び名に採用したところは、更科峠のほかにも全国各地にあります。次のサイトもごらんください。http://www.sarashinado.com/2011/07/16/hideyoshi/ (大谷善邦)

 

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