感動は言葉にして子に伝えて 「さらちゃん」の集い開催

さらしなルネサンスは4月28日、絵本「さらちゃん」の発刊記念の集いを、千曲市総合観光会館で開きました。絵本の内容をお披露目する第1部と、絵本についてのシンポジウムの第2部の構成。

第1部は絵本の見開きページをスクリーンに映し出し、絵本の読み聞かせをしている「ちくましおはなしネットワーク」の飯島幹子さんに、物語を読み上げてもらいました。さらしなの里の美しい景観の現場を、お父さんと訪ねたさらちゃんの驚きや感動の声や言葉が、とてもしみこんでくる感じがして、絵本はどう読むと面白くなるかよくわかりました。

第2部のシンポジウムは、千曲市のお住まいの絵本コーディネーター小林いせ子さん、「さらちゃん」編集制作メンバーで保育士の柳澤敏子さん、元小学校校長の小松信美さん、さらしなルネサンス副会長の西澤賢史さんの4人が意見を述べました。

小林さんは「絵本は幼児と大人のきずなをつくる材料。絵本を通じて言葉をかけてもらうことで子どもの心は満たされる。心を育むには大人が美しいと感激した感覚を言葉にして子どもに聞かせることが大事」と語りました。柳澤さんも「大人が感激したことは、言葉で子どもに伝えることが大事。お出かけや散歩の道では、あそこにきれいなお花が咲いているね、何色かな、暖かくなってきたから咲いてるんだねとか言葉かけをする。肌の感覚が子どもの育ちには大事。『さらちゃん』はお出かけするときの体験マップのように使いたい」と話しました。

小松さんは、大人にとっての絵本の意味について考えを語りました。「読み聞かせるときは子どもの気持ちを考えているもの。表情も見ながら読んでいると、大人の気持ちも安定する。子供と大人の一体感が大事で、大人も子供と一緒に成長できる」。西澤さんは「さらちゃん」を一緒に暮らす3歳のお孫さんに読んだところ、帰宅するといつも「さらちゃん」読んでとせがまれることを披露。「物語はとっくに覚えているはずなのに。絵本に登場する昆虫や動物など読み聞かせの切り口を変えることが、孫を飽きさせないようだ」と話しました。
また、東京大学名誉教授(倫理学)でさらしなルネサンス顧問の竹内整一先生は集いに参加できませんでしたが、「さらちゃん」について次のような感想を寄せました。「ほんとにいい絵本になりましたね。絵本というアイデァが自体面白いのですが、それに盛り込まれたものがまたすばらしいコンテンツであふれているように思います。これから育っていく子どもたちの心にしかと刻みつけられるし、大人たちの心もしかとなつかしむことができるものになったと思います。ふるさと『さらしな』への質の高い愛情がないと、これだけのものはできないと思います

絵本は全部で3000冊印刷。1800冊を千曲市内の保育園・幼稚園の全在園児に贈呈しました。700冊は来年と再来年の新入園児に贈呈用として保管します。あとの500冊をさらしなルネサンスで活用するのですが、制作資金は千曲市協働事業による公金と、さらしなルネサンスの事業資金でまかなっているため、販売はしません。市内の図書館や教育関連施設、報道機関、会員などに贈呈し、残る冊数は会への新規入会者(年会費1000円)に贈呈することにしています。
 

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