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さらしなブログ

歴史の真実を演劇で堪能ー更級郡上山田村から始まった午札騒動

2016.04.16 kanrisha


江戸時代が明治に変わった激動期、更級郡上山田村(現在の千曲市上山田)で「午札(うまさつ)騒動」という農民一揆が始まりました。更級郡などを治めていた松代藩のまずい経済政策で農民は生きていくことが難しくなり、周辺の村人を扇動し大群となって松代藩に直訴したのです。その首謀者とされ、打ち首になった小平甚右衛門さんを主人公にした演劇「午札騒動考」が4月10日、上山田文化会館であり、見てきました。堪能しました。
甚右衛門さんは打ち首になった後は「罪人」扱いされたものの、日清、日露戦争での勝利をへて欧米と互角に戦うため、国は甚右衛門さんをよく戦った日本人として「義民扱い」するようになりました。同じ人間の、同じ行いが、時代の情勢によって評価が簡単に変わります。甚右衛門さんは一揆のとき、一家の青年当主。残された家族と子どもの苦労。そもそもなぜ、甚右衛門さんは首謀者の役を担ったのか。義民とされることで、見えなくなってしまう大事なことがあるのでは。甚右衛門さんは入り婿だった…。
脚本は上山田在住の劇作家・演出家でレストラン経営者の村上雅人さん。30年前から地元の大きな事件を舞台化する使命を感じ、関係者への取材を重ねたそうです。村上さんには直接聞いてはいませんが、資料がそれほど残らない時代の事件なので、村上さんは長年の疑問への自分なりの答えを見つけ、それを舞台化したのだと思います、まさしく「午札騒動」。見終わって、1人の父親、家の主として、また地域、組織で生きていくことって?と考えてしまう現代的な物語と見せ方だと思いました。
物語のもとは、150年近くも前の歴史。郷土の義民、有名な事件としてありがたがるだけでなく、このように光を当て直してほこりを落とし、磨き直すことは、とても大事なことだと思います。時代劇の醍醐味です。
公演は全3回で、あとの2回は5月29日(日曜)、長野市松代の松代文化ホールであります。詳しくは「午札騒動考」のホームページで。公演のお知らせ記事をアップした当サイトのページもごらんください。(大谷善邦、写真は村上雅人さんの撮影)