竹内整一先生の新刊が出ました
2016.01.31 kanrisha
さらしなルネサンス顧問の竹内整一先生が「ありてなければ 『無常』の日本精神史」(角川ソフィア文庫)という新著を出版しました。鎌倉女子大学教授、東京大学名誉教授である竹内先生は日本思想や倫理学がご専門で、この本では、古来日本人にそなわってきた「人生、世の中ははかない」というものの考え方を、平安時代から現代までの和歌や文学、エッセーから掘り下げています。さらしなの里の姨捨山を舞台にした謡曲(能楽)の「姨捨」も、その一つです。
「人生、世の中ははかないもの」という感覚は、自分には身についていないなあと思いました。本を開いていて、はかないからあきらめるのではなく、はかないと自覚することでこそ前向きになれると思いました。なんとかなるさという感じ?。竹内先生が紹介している古今の日本人の和歌や文学は、言葉で表現した人も、それを読んだ人も少し前向きになれたんだろうなと思います。はかなさという感性が多くの日本人を、さらしな姨捨の月や景観に誘(いざな)わせたとも言えると思いました。当地は「はかなさ」を表現したり、味わったりする格好の場だったのだと思います。
「ありてなければ 『無常』の日本精神史」は税別で880円。ネットでの購入はこちらから。竹内先生については更級への旅240号、謡曲「姨捨」は更級への旅32号もごらんください。(大谷善邦)