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さらしなブログ

縄文が発見した「老いの価値」-小林達雄さん講演詳報

2019.06.01 kanrisha


 縄文学者の小林達雄さんの講演会が3月、さらしなの里歴史資料館で開かれたことを本ブログでお知らせしましたが、講演内容をここにアップしました。同資料館の運営に協力する地元のボランティア団体「さらしなの里友の会」の「友の会だより40号」から転載しました。画像をクリックすると、該当ページが現れます。

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 縄文研究の第一人者、小林達雄さん(国学院大学名誉教授)の講演会が3月 17日、さらしなの里歴史資料館で行われました。演題は「縄文人の心と文化力」。考古学の成果をふまえ、縄文人の心や精神世界を解き明かすお話で、ここでは二つ、年を重ねる価値が縄文時代に初めて発見されたことと、縄文人が話していた言葉に関することを紹介します。 
 縄文時代は狩猟しながら移動していた遊動生活から、住む所を定めた定住生活に変わったことが大きな特徴です。それが可能になったのは、日本列島が温暖化でクリのような木の実などが取れて食料が豊かにったためです。
 小林さんは、遊動生活のときには足腰が弱くなった老人は置いてけぼりにならざるをえなかったといいます。若い夫婦は自分の子どもの面倒をみるのが精一杯だったからです。しかし、定住生活によって足腰が弱くなっても老人は天寿を全うできるようになったといいます。
 それによって老人の持っている情報や豊かな知恵が孫にも伝えることができようになりました。これが村のはじまりで、そこには現代の図書館や文化センターにつながる機能も生まれ、社会生活が営まれる空間ができました。豊かな造形の土器や土偶もその反映だそうです。つまり「老いの価値」が縄文時代に初めて発見されたのです。
 次は縄文人が話していた言葉についてです。文字がない時代なので、はっきり知ることはできませんが、現代のわれわれが使っている言葉につながっているのは間違いないでしょう。
 そのつながりの一つの例として小林さんが取り上げたのが、春の小川の流れをいう「さらさら」や、風に揺らぐ森の「ざわざわ」など自然の姿を音で表現するオノマトペ(擬態語、擬声語)です。1万年にわたって自然と共存共生してきた縄文人の心が作りだしたと小林さんは言います。
 オノマトペの多さは日本語の特徴ですが、それは自然との境界をもうけず、自然と同じ目線だった縄文人のものの見方がおおもとにあるということです。縄文人の自然との関係について「共生共存」と言われますが、「共感共鳴」とも言えるそうです。
 このお話の中で面白い指摘だったのは「今日は何を食べたい」と聞かれたときに「私はうなぎ」と言う日本語の構造です。英語に直訳するとI am unagiとなり、これはおかしいとよく指摘されますが、うなぎとの境界をつくらない縄文人のものの考え方の名残りかもしれないということです。
 講演の内容は、小林さんの近著「縄文文化が日本人の未来を拓く」(徳間書店)でも詳しく展開されています。(大谷善邦)