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冠着ヒメボタル、最大の飛翔「正に乱舞」

2017.07.23 kanrisha


 冠着山(姨捨山)の頂上に今年もヒメボタルが現れました。7月22日に観察した上水清さんの報告です。上水さんはさらしなルネサンス副会長、更級人「風月の会」事務局長、冠着山の自然と文化遺産を保存する会事務局長です。冠着ヒメボタルについては、信濃毎日新聞の紹介記事もご覧ください。
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 今年も、冠着山姫蛍観察会が7/22に行われました。今年は、平成9年に観察会が行われて以来、最大の姫蛍飛翔を観察することが出来ました。正に乱舞という状態だったように思わります。原因は不明です。
 このような状態が何時までも続くよう願っています。また、そのための活動も必要です。
 観察結果(下の*印の後に)を整理してみましたが、まだ結論付けられる段階のものではありません。これから、さらに皆で調査を継続し、藤山先生の指導も得て、保護活動のための資料を整えていきましょう。
 写真は2014年7月25日夜、松本市でホタルの保護観察活動をしている「庄内ほたると水辺の会」の後藤和敏さんが撮影したもの。時間をずらして撮影した画像を重ねる多重露光という手法でつくったものです。ヒメボタルの明滅は、水辺に住むホタルと比べると、金色に近い光の明滅が、短い間隔で繰り返されるため、長時間露光で撮影すると、このように光の粒の集まりの写真になります。水辺に住むホタルの光は緑色がかり、明滅の間隔が長いので、光の粒ではなく、光の線の集まりになり、このような写真はヒメボタルでしか撮れないそうです。レンズに光を入れて15秒後ごとにシャッターを切る作業を約2時間続け、約500枚のカットを重ねあわせたものがこの写真です。右の写真は冠着山頂上からの善光寺平の景色です。

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冠着山の姫蛍 (2017年7/22の調査より)

姫蛍の生息環境(ここをクリックすると、頂上付近の地図入りの報告がPDF表示されます)

 気温と湿度は、姫蛍けでなく蛍の餌となる地中の昆虫にも影響してその生息環境を形成しているものと思われる。冠着山の頂上付近(標高1.252m~1.150m)は、高原性の気象で霧も発生しやすく冷涼湿潤であることが姫ボタルの生息条件に適しているのではないかと推測される。標高差10m単位で気象条件が微妙に変化し、それに伴ってホタルの生息数も変化しているように思われる。

観察日時と範囲
期 日 2017年7月22日 午後8時~9時50分
観察範囲 
 ・冠着山の頂上付近のほぼ全域
 ・頂上から西側の尾根筋を下る歩道沿を鳥居平駐車場まで
 ・坊城平いこいの森
観察結果
 頂上(1.252m)~1.150m(西側尾根)(標高差100mの範囲、地図上の太い実践内)は、極めて密度か高く飛翔し、高度差による変化はあまり見られなかった。1.150m付近から10m低下する毎にホタルの数か漸減し、1.100m以下ではほとんど発見できなかった。 勿論、鳥居平駐車場(1.060m)では全く観察できなかった。よって、1.100m(地図上の点線)が生息限界と推測される。(この範囲をくまなく観察することにより実証できる)
 ところが、冠着山の東尾根筋を下つた「坊城平いこいの森」一帯を観察したところ(同日9時50分)、その中の冠着十三仏付近(980m)に数匹の姫蛍が観察された。10m下の駐車場や蛙池付近では全く観察できなかった。
 数匹とは言え980m付近で観察されたことは不思議である。(観察期日が10日程早ければ、もっと多いかも??)
 ちなみに、児抱き岩付近は、標高1.150mなので、頂上付近と同程度の飛翔が見られるものと思われる。
 児抱き岩の間を飛び交う姫蛍を鑑賞してみたいものだ。姫蛍は、冠着山の祖霊神の化身とも言われている。
観察者
 
塚原弘昭、上水清(同日の観察者は信大名誉教授の藤山先生他多数であったが、坊城平での観察は二人)